お役立ちコラム 第1回
タレこみに気をつけろ!? (税務調査 第1回)
最近の税務調査は、変化してきています。
何が変化してきているかといえば、税務署内での調査方法が変わったということです。
以前は、統括官の指揮のもと、担当官が調査に出向き、調査報告書を統括官に承諾をもらうという方法でしたが、現在は、調査に行く先も副署長の承諾を取り、調査内容の検討も、副署長が検討し、承諾がなければ通らなくなっております。
しかるに以前はお土産などと称して、一件税務否認項目があれば調査はそこで終結という具合になっておりましたが、現在は税務否認項目があったら、それはそれで次はと、却って調査の終結が遠ざかってしまう傾向にあります。それだけ調査が厳しくなっているということです。
そこで、税務調査を受ける側の対応策としては、まず、一発で否認されるようなことがないようにしておかなければなりません。
それは売り上げの削除、経費の架空計上、意図的な棚卸の計上漏れ等(脱税行為)、だれが見ても言い逃れようのない会計処理です。
この場合、税理士としては反論などはできよう筈もありません。税務署とやり取りできるのは税法条文の解釈の違い等、税務上是認、否認どちらともとらえることができる場合であります。
最近実際にあった話ですけれど、若い女性の調査官(事務官)から調査依頼の連絡があり、あたかもその女性の調査官が調査にあたるかのような連絡でした。実際、調査当日には統括官がその女性調査官を連れて現れましたが、その女性調査官は領収書をペラペラめくっているだけで、実質は統括官が夢中で調べていました。当初は2日間調査させてくれという話でしたが、得意先が1件しかないのだから1日で十分でしょうと言いました。
調査の際、売上、仕入等から見ていくのが通常ですが、今回の場合は、決算月の前後1か月、計3か月分を出しなさいという話でした。直感でおかしいなと思いましたが、こちらとしては何も疑われるような事実はないので黙って見ておりました。 結局、終わってみると1日で終了しました。
今回の件を見ましても、近年の調査傾向は、タレこみによる調査が増えてきております。通常3年から5年間隔で調査に来ます
。
しかし、今回のように、具体的に直近数か月、例えば外注費、交際費等から調査に入ったら、まずタレこみでしょう。
タレこむ人は同業者、従業員、仕入先等まさに周りにいる人です。過去にもあった話ですが、飲食業なんかだと近隣のライバル店舗等も十分あり得ますし、これは推測になりますが、実際に当所の顧客でも起こった話です。
例え会社が、儲かっていても、あまり景気のいい話はしないに限ります。
もちろん正しい経理処理をしていれば調査は怖くないという大前提を付け加えておきます
(2011年8月12日)